ご高齢の方の転倒予防はとてもとても大事なことです。
転倒から、骨折・寝たきりへと予期せぬ方へ至ってしまうことも少なくはありません。
転倒を警戒するあまり、ご本人また周りの方々から行動を制限されてしまうこともあります。
そこで!
転倒予防のリハビリと題して、
- vol.1 位置覚・運動覚
- vol.2 むくみ
- vol.3 足関節の柔軟性
- vol.4 膝を伸ばす
- vol.5 移乗(ベッド⇔車椅子)
と、5回に分けてお伝えしてまいります。
少しでも転倒予防のご参考になりましたら幸いです。
vol.1 位置覚・運動覚
「位置覚・運動覚」って聞き慣れない言葉ですね😑
例えば目をつむって、じゃんけんの「グー・パー」をやってみましょう。
右手がグー✊で、左手がパー✋
できましたでしょうか?
これは、筋肉や関節にある感覚のセンサーが働いて、目をつむっていてもグーパーになっている感覚がわかる、間隔がわかるからできた!ということです。
つまり視覚に頼らなくても「指の筋肉が引っ張られて関節が曲がって、完全なグーにするためにはもう少し指を曲げて、握って… よしグーになっている」がわかるということが位置覚・運動覚なのです。
さて、立位(立っている)という動作は、
膝が完全に伸びていると、とても安定します。
また足の関節が0度(90度直角の様に見える角度が0度です)になると、これも安定します。
しかし
ご高齢の方で、立った姿勢で膝が完全に伸びていない方がいらっしゃいます。
膝に変形があって伸びきらないという方もおられますが、ご本人は伸ばしているつもりだけど「伸びていない」という場合があります。
また、カーペットの様な1センチ程度の段差に躓いてしまったときに「足が上がっているつもりが上がっていなかった」ということもお聞きします。
これは、位置覚・運動覚が少しぼやけてしまって、身体の状態と脳で感じていること(感覚)がずれてしまった結果おこってしまったと思われます。
百獣の王・武井壮さんは、
「スポーツを実践するにあたり、頭で思っていることと実際やっていることがずれていると上手くいかない」
と、独自のスポーツ理論「パーフェクトボディコントロール」を小学生の頃に発案されておられます。
その理論の一部、位置覚・運動覚を完璧にコントロールされ、学生時代には陸上日本チャンピオン、45歳で世界マスターズ金メダルという実績をかかげられました。
そこで、位置覚・運動覚にターゲットをしぼって
リハビリをやってみましょう。
注意!膝に変形があり完全に伸びきらない方は無理をして伸ばそうとしないで下さい
椅子の背もたれ、手すり、壁、など身体を支えられる物を掴んで、
- スクワットの様に膝を少し曲げて(ほんの少しで大丈夫です)
- 膝を伸ばして
- 膝の曲げ伸ばしを繰り返す
- 鏡を使ってご自身で膝の曲げ伸ばしの状態を確認する
- もしくは誰かに膝の曲げ伸ばしの状態を確認してもらう
通常のリハビリでは大腿四頭筋の筋力アップのためにスクワットをしましょう!なのですが、
ここで大事なのは!
筋力アップではなく…
①膝が曲がっている状態と膝が伸びている状態との違いを感じ取る
②膝が完全に伸びている状態を感じ取る
というこの2点が大事です。
「ああなるほど、膝が伸びているのはこんな感じなのか~」
「膝が伸びていると思っていてが、ちょっと曲がっているな~」
身体の状態と脳で感じていることをマッチングさせていきます。
筋力アップが目的ではないので、膝は少しだけ曲がればOKです。
結果的に、膝をしっかりのばすことで
立位(立った状態)を安定させることにつながります。
もしバランスを崩してふらつくことがあっても、安定した立位ができていれば踏ん張ることができ、転倒予防につながると考えます。
ぜひ一度お試しください。